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                            2005年3月25日
           【ビミョーな言葉研究所】        第 118号
                            発行部数5731部
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                    ◎等幅フォントでご覧ください◎
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今┃週┃の┃ビ┃ミ┃ョ┃ー┃>>>>>>>>>>>「進入・侵入・浸入」
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 │問題│ あふれた川の水が家屋に「シンニュウ」する、はどれでしょう?
 └──┘………………………………………………………………………………

 ●進入
  進み入ること。

  ▽例▽
   場内に進入する・危険地帯に進入する・飛行機が滑走路に進入する

 ●侵入
  他の領域に不法に入り込むこと。

  ▽例▽
   家宅侵入罪・国境を越えて侵入する・敵の侵入を防ぐ・強盗が侵入する
  
 ●浸入
  建物や土地に水が入り込むこと。

  ▽例▽
   雨水が浸入する・建物に濁水が浸入する・地下水の浸入を防ぐ


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私┃的┃考┃察┃
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  ・車両の進入を禁止する
       ̄ ̄
  ・不法な侵入を禁止する
       ̄ ̄

 【進入】は単純に「進んで入る」ことで、【侵入】は「(領域を)侵して入
 る」ことです。

 【浸入】の【浸】は「さんずいへん」ですので、水などが入ることですね。

 問題の答えは【浸入】になります。


 <おまけ>

 【進・侵・浸】の文字が入った同音異義語はほかにもたくさんありますよ!

 【シンコウ】
  「進行」…… 進んでいくこと。
  「進攻」…… 突き進んで攻めること。
  「侵攻」…… 領土を攻め侵すこと。

 【シンシュツ】
  「進出」…… 進み出ること。
  「侵出」…… 他の勢力範囲に入ること。
  「浸出」…… 溶かし出すこと。しみ出ること。

 【シンショク】
  「侵食」…… 徐々に侵して入り込むこと。
  「浸食」…… 水などが物や土を削り取ること。

 【シンスイ】
  「進水」…… 新しい船を水上に浮かべること。
  「浸水」…… 大量の水が入り込むこと。

 いずれにしても【進む・侵す(おかす)・浸す(ひたす)】の意味を考えて
 使い分ければ大丈夫ですネ☆

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第┃2┃研┃究┃室┃  ◆◆ 「的を射る」の語源 ◆◆
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 先々週の 116号の【編集後記】で、「的は得るもんじゃなくて、射るもんや
 でぇ〜」と、我が妹に突っ込んだというお話を書きました。

 するとSさんより「“的を得る”は、間違いではないようです」とのメール
 をちょうだいしました。抜粋・編集して掲載させていただきますね。
 とても興味深くて面白いですよっ♪


 ┌−【Sさんからのメール(抜粋・編集)】−−−−−−−−−−−−−┐
 |                               |
 | これは漢語に由来する表現で『大学』・『中庸』(儒教の本)に |
 | あるように、「正鵠(せいこく)を失う」という表現からきてい |
 | ます。                           |
 |                               |
 | この場合の正鵠は、正も鵠も、弓の的のまん中の黒星のことで、 |
 | 射てど真ん中の黒星に当てることができたかどうか、当たったら |
 | 「得た」といい、はずれたら「失う」と表現していたのです。  |
 |                               |
 | 矢で的を射るのは当り前としても、必ずしも的に、まして正鵠に |
 | 当たるかどうかは示していない表現が「的を射る」です。    |
 |                               |
 | 「失」の反対は「得」であり、「射」ではないのです。     |
 | いつのまにか「正鵠」という分かりにくい言葉を使わず「的」に |
 | 省略し、日本の国語辞典にも浸透しています。         |
 |                               |
 └−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−┘

  ▲和田)Sさん、貴重なお話をありがとうございました。
      本当に勉強になります!(^^)v

   「的を射た」では「射ただけで的に当たってるかどうか分からない」
   っていうのが面白いですね〜。(笑)

   でも「射る」には「弓で矢を飛ばす」という意味と「矢を飛ばして
   目的物に当てる」という意味がありますので、後者の意味で「的」
   には当たっているようですね。

   それから、「的」に当たってもど真ん中(正鵠)とは限らないわけ
   ですが、「的」には「核心・要点」の意味もありますので、この場
   合は「中心(ど真ん中)」と考えてよいと思います。

   確かに「失う」の対語であれば「得る」になるわけですが、「正鵠
   を」ではなく「的を」と言った場合には、やはり「射る」が正しい
   とするのが一般的だと思うんですよね。対語は「的外れ」ですし。(^^)
     

   ただ、最大の国語辞書といわれる『日本国語大辞典』(全13巻/小
   学館)には、「的を射る」と並んで「的を得る」が載っています。

   意味は「的確に要点をとらえる。要点をしっかりとおさえる」と
   なっていて、「的を射る」や「当を得る」と同義(同じ意味)と
   して扱っています。


   結局、一般には誤用とされていますが、Sさんがご紹介くださった
   語源と、一部の辞書には正しい表現として掲載されているというこ
   とを覚えておくといいですネ。

             ……妹よ、そーいうことだから。ゴメン!(笑)
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編┃集┃後┃記┃☆┃
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 そんな妹に「【ビ研】は難しくて、読むのに時間がかかる」と言われてしま
 い、ひそかにショックを受けています。(T_T)

 う〜ん、今号も長くなってしまった…。
 ますます専門的になってきちゃったぞ。(汗)

 まぁ、読者の皆さんは、興味のあるところだけ読んでくださいねっ。(^^;)

 中には、この【編集後記】から読まれる方もいらっしゃるようですが(笑)、
 それもアリです!

 週に一度のことですので、週末にでもゆったりとお付き合いくださると、う
 れしく思います。(^^*)

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│最後までお読みいただき、ありがとうございました。ホントに長くてゴメン│
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